poetic lyrics...................................
przejscie podziemne
These lyrics are entirely fictitious.....
  


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夜の爪




足の爪の形を眺めていると。
ナンダカ。
自分の顔がソコに見えてくるような気がする。


夜の爪。


ただかかとを床に立てひざを抱えてじっと見つめる。
まっすぐ横に切られたソノ爪の直線がココロに想い続けるコトの難しさのように痛い。


耳を済ませていてもアノ音は鳴り響かない。
手のひらで足の指を内側に反らせるように包み込みながら。
音を追うことをやめようと唱えてみる。

ループを描きながら繰り返される言葉にならない言葉にあわせるように。
手で足を抱きかかえたまま体を前後に揺らす。
頭と眼は冷静なほど分離し眼はただひたすら夜の爪を追い続けている。



夜の中_____叩いた言葉に後悔する朝を迎えたとしても。
ソレはソレで仕方のないこと。







-68-

青いバラと冬の羽



blue rose______ 青いバラ。


1つの想いが終わる時だと思えばいいのか。
どの様にイロを記憶したらいいのかわからにままソノ手を止めた。


気温はドコマデモ下がっている冬に雪がないのも珍しい。
ソンナ中少しだけ落ちてきた今日見た雪は。
湿った大粒の雪とはいえないような乾いたモノで。

ソレラはまるで空から落ちてくる白い鳥の羽のように。
平たくてふわふわしていてコレが雪だとは寒くなかったら思えないかのようだった。

しばらく静かにソノ白い羽が落ちてくるのを眺めた。

ソシテ・・・・ありえないこと ___________ は_ワタシの中では終わってゆくんだ。

青いノバラの持つ妖気な青はイロに変わりはなくても。
ワタシの眼には違うイロとして映るだろうとふと1年後を想ってみた。








-67-


助手席の闇




日付が変わろうとする少し前の真夜中の高速道路。


助手席に座り聴こえてくる音楽に今のワタシを重ね合わせながら。
ぼんやりと前の車のテールランプが赤い。


空を見上げるとただソコは夜の闇。

星も____雲も____月も____何もない・・・・・横たわる箱の闇。

見つめる視線の先をドコニ合わせていいのかと戸惑いながらも。
ナカナカソノ視線を動かさないまま見えるはずもない闇の向こうにある何かを探そうとしてみる。


どれだけか車が走りソノ視線を下に戻したらワタシはナゼか何度も瞬きをしていた。

タイヤが路面に接するわずかな音と。
道路に書かれた途切れた白い線が一定のリズムで流れてゆくのをワタシの右側で感じながら。
スグ側にあるものはワタシが今コノ時間にいるコト。


星も____雲も____月も____何もない・・・・・横たわる箱の闇。

向こう側にあるモノは別世界なのだと視線の先にある時間がソット線を引いた小さな箱の中。





-66-

ロウソク立てと夢のあとに



もうズイブン火を灯していない2本のロウソク立のホコリを指でぬぐう。

わけのわからない独り言と。
フォーレの『夢のあとに』が繰り返し聴こえる。

ソウ・・・ワタシが針を落したんだモノ。

ドコカ田舎の南に位置する小高い丘の上の小さな教会から聴こえてくるような。
ナニも無い乾いた大地と枯れ草を抱く空気を縫って。
聴こえてくる鐘の音がフォーレの音と絡み合うかのよう。

ワタシのココロも乾いた草。

ソノ草が風になびいているのが聴こえるよ。

ロウソク立を1番下の鍵盤だけが色の違う古いピアノに立ててみた。
こぼれて固まった蝋の形がアノヒトの鼻の形に似ていて笑ってしまったけど。


眼を閉じ右手の人差し指で弾いたその1つの音が。



________________夢のあとと重なった。








-65-

ある切符とない切符



クローゼットの上の棚の奥にある靴箱が。
ナンダカこっちを観ていたような気がしたので。
「ハイ」ってヒトリつぶやいてほこりをかぶった箱を開ける。

写真やメモ・・・リーフレットにドケット。
映画の半券に友人からの手紙。
それぞれにその時のワタシがそこにいてなんとなく笑えてくる。

それらを掻き分けてゆくとそこには1枚の切符。
回収されなかった切符。

駅の文字のインクが少し薄らいではいるけれど。
そこにはある駅の文字があった。


メールを知らせる音楽が鳴っている・・・・ウン 誰からなのかはわかっているよ。


もうめぐりくることがない存在しないレアな時間は。
ワタシにとって大切であっても アナタにはそうではないと知っている。
存在した切符を手に取り存在し得なかった切符を想ってみる。


この箱に入っていた靴はどこにあるのかをふっと考えながら。
ソノ靴の箱を閉じ携帯電話に手を伸ばす。






-64-

十三夜の灯り



暮れかかる海_____はるか遠くに霞んで見える対岸の中の薄明かりを。
防波堤にしゃがみこみ立てた膝の上にあごを乗せて夕凪を感じとる。

ナゼ゙ココにいるのかがよくわからない。

"凪"という言葉に柔らかな安堵感を覚えながらもソノアト急に切なくなる。

アノ対岸に見え隠れする明かりの中に アノヒト はドウしているのだろうと。
考えると自分がチッポケな存在に感じるから違うことを考えることにした。

あたりが暗くなり始めスコシ風も出てきたみたい。
ポケットに忍ばせて来た冷たく鈍い光を放つ銀のスプーンも暖かくなった。

風が出始めワタシの頬を通り過ぎたところで。
一筋の灯りが規則的にワタシのところにもどってきては夜の闇を告げる。


今夜は十三夜_________。
月の光を銀のスプーンの中に閉じ込めて…モウスコシ/モウスコシ。


_明日のことなど忘れてしまおう。
灯りの中・・・・・・嫉妬するほどに彼女の持つソノ響きが美しいから。






-63-

数字の呪縛



『数字を忘れるのはいいことだ。』


ぷつりと静かな低い声で彼は言った。

一瞬その返答に困ったのだけど。
何も言わないことにした。


あわただしい時間の経過にイラつきながらも。
それを追っているしかない日々に。



苦悩を知った後に残るものは。
信頼と重圧。


数字を忘れてしまえば。
今を生きてゆけないことをわかっていながらも。

ソノ先に見えるワタシと今の言葉が重なって。
コンナはかなく切ないものでしか繋がれない切れそうな糸を感じながら。


いつまでもそこで誰にも知られないようにココロがしびれるくらい泣いていた。





-62-

コインロッカーの午後




うす曇の春の午後3時。

たまってしまった洗濯モノとココロの襞を袋につめて。
ゆっくりとコインランドリーのドアを開く。

誰もいない。


何台かのドラム式の洗濯機がぐるぐる回っている。
洗濯パウダーと少しばかり湿気を帯びた暖かい空気が頬を包んだ。

無造作に袋の中のモノを洗濯機の中に詰め込みダイアルを回す。
壁の落書きがいつもと変わりなくそこに存在しているように。
スベテが当たり前のようにように何も考えず無造作に手が動く。


錆びた脚のいすに腰掛け洗濯物と襞が回っている扉の向こう側を見つめる。
その動きを乾いた眼で延々と追う。


ドレダケ時間がたったかは誰もわからないのだけど。
遠慮なくキツク鳴り響くブザーの音が。
外の雑踏の音と向かいにあるハンバーガー屋のフレンチフライの匂いをよみがえらせた。


マタ音のするドアをゆっくり開け。
少し前に来た道を逆になぞりながら歩くことにする。





-61-

アナタのレンズに。
午前2時の砂時計。




午前2時の砂がユックリと落ちてゆくのがアナタのレンズに映し出される・・・。


古いカメラのフォルムの持つソノ冷たさがどうしようもないほどに愛おしく。
切なさと知りもしない過去と未来の時間を感じながら。

コノ冬の季節に太陽と地球の距離がもっとも縮まり。
次の満月を待っているワタシの元に。
届いたモノたち・・・。


ドレほどの止まったソノ時を記憶して。
ドレだけのココロのひだを写し撮ってきたのかと。


砂のむこうに・・・青く白くコントラスト。


頭をを机の上に横に寝かせて。
左の頬でひんやりとした冷たさを感じながら。
午前2時の古びた砂が落ちてゆくのをこのまま・・・眺めていよう。



ソシテ・・・午前2時は過ぎてゆき。
時は移ろい・・・ソノ速さにためらいながらワタシも虚ろう。






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60-

水曜の地下鉄



水曜の午後の地下鉄は隣の車両が見えるくらいに空いていた。

アドヴァタイズの広告が流れ車両がホームに。
コートの裾がなびき髪もなびく。
頬にかかった髪を軽く指で押さえながらゆっくりと席に座った。

斜め前の席には居眠りしている老人が1人。
ひざと軽く組まれた両手の間には1冊の本。

ソノ手と本がなぜかしら気になって。
視線をはずしてはまた戻る。

窓に映し出された暗闇の中に途切れる地下鉄の無機質なライト。
ソノ中にぼんやりと浮かび上がる人影が映画のシーンを観ているようだった。


次の駅で老人は何もなかったように眼を覚まし。
足早に降りていった。


彼が座っていたソノ空いた座席にソノ本が置かれているような気がして。
視線を落とした。







-59-

見知らぬ同居人




曇り空が重苦しいけだるい日曜の午後。

タイトルに惹かれて録画しておいた古いベルギー映画。
ナントナク観ている間にいつの間にか眠ってしまったようだ。

かすかな物音と人の気配に眼が覚めて。
赤い大きな数字が浮き上がる電気時計がチラチラと 4:30 を示している。


映画はすでに終わっていて無駄に明るい青い画面が移っているだけ。
乱れた髪のまま しばらくその意味のない画面を見つめる。


誰かがこっちに向かって歩いてくる。

手にはワタシの白いコーヒーカップ。
もう片方の手には見たことのない茶色のコーヒーカップ。
黙って差し出されたソノ白いワタシのカップを ワタシは黙って受け取る。

ひざを立てて髪が乱れたまま両手でつかんだカップを口元に運ぶ。
隣に茶色のコーヒーカップを持った見知らぬ人が同じように座り。

ずっと黙って無駄に明るい青色の画面を見つめながら。
ただひざを丸めてコーヒーを飲んだ。



窓の外は曇っていたはずの太陽が沈みかけていた。





-58-

サヨナラノマエニ。




ちいさな"プチン"という音を残して部屋は闇に包まれた。

明るいギラギラとした光は苦手だ。
夜になるとつけている部屋のただ1つのランプの電球が切れた。

暫く闇の中で動きもしないでどれだけかの時間をすごした。

ソノ闇の沈黙に終わりを告げたのが。
耳慣れた音だった。
音からの文字をを読んでいる間だけはそこに光があった。
読み終えるとマタ再び闇が訪れた。

数分前のソレとは異なる深い闇。

伝えておきたかた言葉も。
見せたかった写真集も。
闇の中。

サヨナラノマエニ・・・







-57-

切れゆく紐 -2-




ワタシの左手のそれは。
いつでもソコにいたのだけれど。
左手首にナゼだか違和感を感じてシャツの袖をめくってみると。

紐が切れていた。

いつかは切れてしまうものだとわかっていながらも。
心のどこかではこのままでいてほしいとでも思っていたのだろうか。
体の中を無数に線の入った風が吹き抜けていった。

1度は切れるその時のコトを想像していたにもかかわらず。
ワタシの心の空気が重くなってゆくのが胸の奥と。
背中に違和感を感じているのである。

気分を変えようと何かしら試みるのだけど。

視線の先は何もなくなったワタシの左手があった。


外は夜___ 秋の黒にほんの少しだけ深く暗い青の混ざった夜の色になった。







-56-

切れゆく紐
-1-




いつの間にか眠っていた。

目が覚めたときにはすっかりあたりは暗くなり。
一瞬自分がどんな時間軸の中に存在しているのか。
混同して机の上を量手のひらで探った。

そこには何も書かれていない真っ白いページのノート。
薄暗がりでも白いページはそこだけ浮き上がって見える。


何かしら不安を覚えて。
左手首を右手でぎゅっと握り締める。

ソノ手首には皮の紐が巻かれていて。
巻いたそのときのことを思い出したりした。


ソシテ訳もなくソノ紐が切れるときのことを想像した。


薄暗がりが濃い黒を落としゆく時間の中でユックリとノートを閉じた。








-55-

アゲハチョウ



めまいを覚えた。

今まで聞こえていたすべての音が吸い込まれるようにして消えていった。
この暑さと湿気のせいなのか。
いえ・・・その部屋の中の何かが変化していたのだ。

部屋の中に迷い込んだ1匹のアゲハチョウ。



音を失ったワタシノ耳が。
目に訴えかけるかのようにそのアゲハチョウを凝視した。

眼が離せなかった。
そのアゲハチョウの飛ぶ姿だけが。
周りの時の刻む速さとは隔離されているかのように。

黒い姿にエメラルドブルーの斑がゆっくり・・ゆっくり・・・流れているように見えた。


その部屋にいる誰一人としてアゲハチョウの存在に気づいていない。

ワタシダケニ見えているのか・・・タスケテ。タスメテ。
考えていたときだったか・・・音が戻った。


蝶の姿はなかった。

その黒い残像にあの人の姿がが重なったような気がした。








-54-

夜の虹



彼女には 夜の虹 が見えるという。

暗闇の中に7色の虹がかかっているのが見えないモノかと。
闇を切り開くような眼で空を見るが。
何が見えてくるわけもなく。


アノ夏の夜の空には満月が見えた。
ビルの谷間から低い位置に垣間見た満月は忘れることはない。


アノ冬の朝の空には冷たい雨上がりに虹が見えた。
涙にソノ虹も濡れていた。


そして・・・今 aaはココには存在しない。


今夜の闇に何が見えるのかと。
問いかけてもても返事は聞こえないのだろうから。